SHOCOのまいるーむ

SHOCO 化学物質過敏症(CS)と向き合いながら生活しています。 発症初期に「何がつらいのか分からなかった」経験から、 仕事・外出・人間関係など、日常の困りごとと現実的な工夫を 自分のペースで記録しています。 同じ悩みを持つ方の不安が、少しでも軽くなればうれしいです。※本記事内の商品リンクはアフィリエイトリンクを含みます。 購入はご自身の判断でお願いいたします。

2025年1月、なぜ「逆転敗訴」になったのか? 花王・国との裁判をMCS当事者が正確に知るために

「2回目の裁判で負けた=国が被害を認めなかった」と受け取った方もいるかもしれません。でも実態はもっと複雑です。病気も原因も認めながら、制度の「書類の枠」で突き返した——その理不尽な構図を整理します。

まず前提として花王元従業員の男性は「2つの別々の裁判」を戦っていました。1つ目(vs 花王)と2つ目(vs 国)を混同すると、この問題の本質が見えにくくなります。

2つの裁判、何が違ったのか

1つ目の裁判(vs 花王)

2018年・完全勝訴・確定

「会社のせいで病気になった」と花王を訴えた民事裁判。花王の安全配慮義務違反と、化学物質過敏症の発症との因果関係が100%認められ、約2,000万円の賠償が確定。花王は控訴していません。

2つ目の裁判(vs 国)

2025年1月・逆転敗訴

「国(労働基準監督署)は労災として休業補償を認めろ」と訴えた行政裁判。1審(地裁)では勝訴したが、2審(東京高裁)で国側の主張が認められ逆転敗訴。

重要なのは、2つ目の裁判でも東京高裁は「男性が重い化学物質過敏症であること」「職場の化学物質が原因であること」は事実として認めています。「病気を否定した」わけではありません。

では、なぜ2つ目で負けたのか?

高裁が突きつけたのは「病気かどうか」ではなく、申請した「制度の種類が違う」という、お役所的な理由でした。

「この男性の症状はもう長年続き、これ以上良くも悪くもならない(症状固定)状態だ。労災の『休業補償』は、治療して治る見込みがある期間に出すもの。治らない状態(後遺症)なら別の『障害補償』を申請すべきで、今回の請求は対象外だ」と主張。
男性「今も治療を続けており、症状は固定していない」と反論。
高裁国の形式的な主張を認め、「申請した枠組みが制度と合わない」として原告の訴えを退けた。
つまり高裁は「病気も原因も認める。でも書類の種類が違うから、お金は払えない」という判断をしたのです。被害者側からすれば、まさに「制度の壁で理不尽に負かされた」という結果です。

この結果が意味すること

この裁判の顛末は、化学物質過敏症の当事者にとって2つの重要なメッセージを持っています。

✓ 司法は「化学物質過敏症が実在する病気であること」「職場の化学物質が発症原因となりうること」を認めたこの事実は、1つ目の裁判(花王への勝訴)とあわせて、当事者にとって重要な根拠になります。
✗ 一方で「現行の補償制度はMCSに対応できていない」という現実も露わになった制度の枠組みが古く、MCSのような慢性疾患・原因特定困難な疾患に対応しきれていません。「被害を証明しても救済されない」壁が存在します。
今の日本では「自分で身を守る」しかない——それでも、知ることが力になる残念ながら現時点では、何か起きても国やメーカーがすぐに助けてくれる保証はありません。だからこそ、この裁判の構図を正確に知り、「香害は気のせいではない」「実際に司法でも認められた被害だ」という事実を、当事者同士で共有していくことが大切です。

shoko-zakki.hateblo.jp

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